亜鉛塗料と自転車( 後編 )

前回に引き続き半世紀前な鉄フレームの補修塗装。今回はトップチューブ後部( シートチューブ側 )。

事例。シートピラーのクランプによる塗装ワレ。昔、すでに補修済み、そこの塗装がまたワレた=想定内。そしてママに放置だが、マメな注油で錆びはなし。

原因? 微妙に、微かにサイズの合わない改造シートピラーによるもの( この車体、片っ端から独自規格な難物、それでやむなく。シムで工夫もしてはみたが…)。

それとサドルバッグの固定ストラップをここに括り付けるので、そのストラップ金具によるスレ・荒れが激しい。

折を見て補修ということで硬いOIL注油でのごまかしが… 早数年。トップチューブの件もあって、ようやく重い腰をあげる。

で、ここはまたワレるであろうな、なんで、ぞろっぺえ補修で良い加減に。前回、前編は缶スプレーで吹いたが、今回は全て筆塗り。

( なぜに筆塗り? そこにあまり意味はなく…気分次第。深い意図があるわけでもない。ただ、筆塗りは楽しいのです )

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チューブの交わる部位を中心にサンディング( 画像は、荒れた塗装を落とした状態。ペーパーは#400-#800 )。グレー部分は下地の亜鉛塗装。一部、鉄肌が見切れる、そこのみ亜鉛筆塗りで整える。

( 可能な限り古い亜鉛層は残す。ちなみに、その上に新たな亜鉛を塗布しても、それ+で効果は持続するそうだ。もちろん普通塗料の上に塗布では意味がない、それでは通電しないため )

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そして仕上げ塗装。なんのことはない、ただそれだけ。歴戦の証-古い塗装の補修跡もママに、これでOK!

( ムラに見える部分、実際に塗りムラもあるのだけど、それよりも、ぞろっぺえ下地な映り込みによるものと解釈していただければ )

前にも説明、自家塗装では天候がネックに。この日、晴天、気温30度前後、湿度の体感はまあまあドライなグッドコンディション。

( ちなみに5月、梅雨前ころ、気温20度以上、晴天でドライな環境下が、23区内では一年で最も自家塗装に適していると考えてるが、いかがだろうか? )

これは5回塗りで、マメに焼いてる。焼いて強制的に硬化、そこに重ねて塗るな繰り返し。それだけ、タネも仕掛けもない、単純な筆塗り塗装。

缶スプレーよりも筆のほうが失敗は少ないし、マスキングないので楽だし、ほんと簡単。筆塗りのコツ? 経験を積むしかない。結局、数をこなしてな体得が一番早いだろう。

( 特に、たとえば居住環境なんたらで塗料吹けない方には筆塗りはおすすめ。ただし、ハンドペイントはモロにセンスが出る、が、それも面白いではないか )

焼き具合はルーペで観察、針で突いたりして確認してる。生焼きNG。繰り返すが、亜鉛下地なる、自転車塗装では一般的でない手法である点に留意。でも効果的なサビ止めではある、はず…

オリジナル塗装の上に( 先に補修なトップチューブ塗装上に )重ねて塗るため、当然、塗りムラ( 筆目 )も派生。

ぞろっぺえ補修、これで良いのだけれど、せっかくなので…仕上げ用コンパウンドで整える、磨く。ソリッドのママにクリアは使わない。

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先に缶スプレー塗装な上に重ね塗りだが、カラーコード一致であるから、このようにルーペーで観察しても筆目はわからない。

それでエクスキューズに、やはり… 自分用-実用ではこの程度の仕上がりで十分ではないかと考えてる。

補足。亜鉛塗料のTips!

亜鉛下地にシリコン変性タイプのラッカーでの仕上げは、ちょっとした癖と言うかコツがある。慣れてしまうとわりと簡単。

たとえば完全剥離で亜鉛塗装( 缶スプレー )、焼いて、ラッカー系で仕上げ塗装( 缶スプレー )、また焼きでは、吹きムラにさえ注意すれば失敗しない…はず。

問題は今回のような補修塗装。先の塗装があって( 亜鉛下地の )、その一部に剥離が、それをサンディングで整えて、さて塗装という、まさに今回のケース。

鉄肌-古い亜鉛下地-古い仕上げ塗装な層があり、鉄肌のみに亜鉛再塗装はOK( 失敗経験なし )。それを軽くサンディング、新たな仕上げ塗装を重ねると…

吹きムラが要因なガスのボイドにブリスターはともかく、クラックもしくは縮みでは、塗料の特性にもよると考察している→異なるタイプの新旧を重ねるため。

( たいていは、実際には3種類の塗料を使用。能書きでは、さほど差があるとは思えないが、完全的に同一な溶剤ではないのだろうし…Hmm )

思うに、そんなケースでは、経験では、厚塗りを避け、完全に硬化させての塗り重ねでの失敗はなかった。否、わかってるんだけど、やっちゃうんだ。

先に述べたように、慣れると簡単な、その慣れが… なので慎重になったが、稀にね、たいていは早急に・焦って進めたケースで失敗を誘発。

亜鉛塗装は単純なコーティングではなく電気的な処理なので、もしも興味があれば、フレームはともかく、小物で試してみると効果を実感できるだろう。

( 身近なもの、たとえば屋外にある階段に電柱などグレーな仕上げの鉄の工作物を観察してみて下さい。さほど劣化してないはずで、あれも亜鉛によるサビ止め効果です )

あと、亜鉛の塊( ブロック )を直にアースさせるというサビ止めの手法もあるそうだが( 昔、幾度か耳にした )、試したことはないが理屈は合ってるのだろう。

それと電気式( バッテリー式 )のサビ止めは実際に使用した経験が。3年ほどだろうか? 確かにその期間は目立った錆びは派生しなかった記憶がある。

その1: サビ取り( 自転車フレームの塗装 )
その2: 錆止め( 亜鉛塗料で防錆処理 )
その3: 自転車のタッチアップペイント( 筆塗り編 )
その4: 缶スプレーで自転車塗装( 前編 )
その6: 筆塗りで自転車塗装