自転車用ライトの話がつづいた、その勢いで…
そう、オイルランプ( 灯油ランプ )で自転車用、やはり古い国産品。
自転車用カーバイドもですが、オイルランプも自転車用の国産品は現存数が少ない、とにかくない。
( 対して舶来品は、御国柄か、現存数が多いようです=eBay参照 )
ところで、梶原氏のレポート内の引用箇所に( 孫引き、明治35年=1902年 )、燃料は”石油”と”胡麻油”のブレンドとの記述が。
無論、石油=灯油( ケロシン )だが、胡麻油とは如何に? そこは荏胡麻油( エゴマ油 )と捉えるのが自然かと。
で、当時、常民においてポピュラーなのであろう、この燃料のブレンドにはリアリティが。
つまりたとえば”灯火器”の感覚=行灯の延長。ちなみに灯油は江戸期にも存在、また古くは胡麻油も焚いていたでしょう。
( いずれにせよ植物油だが、江戸期には高級品。ロウソクはさらに高額、安値では魚油でしょうか )
そこで実験。明治時代の灯りの再現、灯油と植物油50/50の常民ブレンドにトライ。
テスト燃料は、灯油( ランタン用 )、菜種油( キャノーラ種でない )、そしてパラフィンオイル( カメヤマ製。普段、ハリケーンランタンにもこれ )。
いずれも高質( 当時のオクタン価も不明であり、とりあえず純度が高いとされているもので揃えた )。
( エゴマ油でなく菜種油を使用は、幕末には菜種油がポピュラーであったという史観が定説的なため )
まずスタンダードに灯油で点灯。
次、菜種油50%ブレンドな混合油、明治期の常民節約スタイル?
そして最後にパラフィンオイル。
おまけ、菜種油100%で点灯。当時、旧時代の燃料としてポピュラーな植物油100%な使用もあったのでは?
もう一丁! 江戸期の灯火器=江戸時代の灯り。燃料は菜種油100%。
( ランプとの比較用に綿芯で点火、本来は灯芯=さらにマイルド )
雑観。
カーバイド式との比較では、手軽=儀式不要。そこは普通にオイルランプですので。
( また現在でも燃料の入手が容易=安定。対してカーバイド燃料は入手に難が=純度&鮮度に )
実用は? 灯火として、都市部では使える=たとえば23区内は過度な照明で真夜中でも薄明るい。
では郊外の闇夜に暗闇では… OK! 感覚的には、カーバイド並みに見える。
( 却って、真っ暗闇の方が際立つ。ただし、ランプ次第=レンズの質と反射板の造作に負うところが大きいかと )
それとメリットかはともかく、アセチレンの灯りよりも怪しい、幽玄に怪しさ満点。
ガス式、また一般的なケロシン・ランタンとはまた別の、グッとくるものがあるんです。
自転車趣味の方以上に、あの”炎”が好きなランタンのマニアには、かなりおすすめ。
とにかく光り方が怪しい、眺めていても飽きない。端的にはハリケーンランタンなどとは別物なゆらめきが。
このところ、この騒動に嫌気が差し、気分転換にもと、酔狂にも古いランプを使ってみて… やはり良いんですね。
この種の前世紀的なランプは実際に走行してみると、それだけで、使ってるだけで楽しくなるんです。
あと、国産というのも嬉しいじゃないですか。
たとえばルーカス( LUCAS )にミラー( MILLER )など舶来品であれば、とっくに手放してるかも。
( このランプ、実は故あって手元に。わけありなんです、それで余計に愛着が )
それで肝心なベストは、もちろん灯油=やはり明るい。
お手軽はパラフィンオイル=リスクと保管方法にも考慮。
( 灯油とパラフィンオイルの差は、今回のテストでは、やや灯油が優れる程度? 劇的な差異はなし )
菜種油も案外には明るいが( 灯油の半分ほどでしょうか )、国産品は高級品=もったいない。
50%ブレンドは… ない。やはり劇的な差異はなし。であれば菜種油100%でいいと感じた。
植物油の特性、まず炎がマイルド=トロ火感覚( 揮発性に劣るのか、たしかに長持ちでは…と )。
そして”つき”はわるい、屋外で強風下では点火に難儀するだろう。この2点が今回の発見。
追記。
燃料に注目は、一度は試してみたかった。その明かりには( 照度的に )燃料以前、ランプの個体差もあるでしょう。
前述な、広角的なレンズの質、また反射板の造作などなど。それと自転車用では装着位置による光軸の度合いも関係か?
このケースでは、わりとレンズの質が高いのか、反射板効果も相まってか、暗いとされる菜種油でも、ポタリング可能なほどに照度は。
菜種油100%での点灯、画像では、江戸時代の灯火器の方が明るく見えるかもだが、実際にはレンズ効果によりランプ式の方が明るい。
( 見切れないが、ランプ正面な室内は全体的に照らされてる。対して灯火器は、それが置かれた周囲な狭い範囲のみ )
留意は、油皿は行灯内に置かれる=照らされた和紙全体としてポワッと明るくなる。
( 行灯が、和紙の明かりは、またいいんですよ )
追記。
自転車用オイルランプは現在も製造販売されてる。それがレプリカで、これが、姿が…。
復刻でございますは、ともかくも、実物を手にしてないのでなんともですが、どうかなぁ…Hmm
でも、そのような復刻が為される点は、さすがレストア文化な御国柄( RBRで70ドル )。
関連のある記事: 自転車用ライトの歴史( 提灯とロウソク )