コースターブレーキのエトセトラ

自転車の後輪とハブブレーキにまつわる話。

ハブブレーキも多種、おおまかには、ドラム式とディスク式に分類可能。

ドラム式では、バンドで締め上げて制動なバンド式、そしてシューによる内拡式( リーディング式の一種 )。あと最近のローラー式も内拡式に。

そのドラム式とディスク式ともに、一般的には、ブレーキはコグの反対側に( 左側が制動装置 )。

ところが、コグ側に制動装置( クラッチ )があり、制動そのものは内拡式、さらにシューはハブ内に=ハブシェルがローターを兼ねる。

それが、そう、いわゆるコースターブレーキ。やはり多種=型式による違い。たとえばクラッチの仕組みにシューの位置など。

( 作動そのものは螺旋状のインボリュートスプライン形状に、クラッチはコグと一体形か、別機構的にセパレートが。シューの位置は、センターまたは反コグ側など )

そのコースターブレーキ、自転車用ブレーキでは最も強力。

国内での歴史も古く、すでに明治期には輸入販売されていた。

ところで、一般論としては、ディスクブレーキ<ドラムブレーキに。が、制動に優れるハードなドラム式は、それがデメリットにも。

ブレーキは車体の操作装置でも、止まればいいというものじゃない。そこ、操作性に優れるのは( 放熱性と耐候性など総体で )マイルドなディスク式に。

簡単には、リム式にディスク式は外側から抑えて制動。対して内拡式は、内側から抑えて制動。コースター式では、いわば中心軸をダイレクトに制動。

よりハードな制動は、端的には、回転軸そのものをロックさせるかのようなブレーキに。故に後輪は、往々にスキッド的に滑る。

( それでたとえば、前輪用ローラー式にはパワーモジュレーターが必要に )

ただ、クラッチを介すコースター式は、クラッチがある故に調整可能=マイルドな制動も( 逆、即、ロックなガツンなブレーキにも。でもまあ裏技です )。

他にも特徴が、それはローターとシューともに鉄な点。つまりコースターブレーキにはライニングがない。

そこで、問題が…

coasterbrake

画像、ハブ焼き、こんがりキツネ色に焼けました。

( ハブシェル真ん中の焼けが顕著=シューが当たる部分=そこで制動 )

信じられないかもだが、この数分ほど前までは、ピカピカにメッキ。

峻峰な峠から急降下で、ここまで焼ける。グリスの耐性に推定するに、200度近くに達しているだろう。

( このように一目瞭然だが、通常使用で、自転車の部品が100度以上にと言っても、まあ誰も信じない )

ローターとシューともに鉄で密封な内拡式=熱がこもる、放熱性に劣るなデメリットが。

( それでやはりローターとシューともに鉄製なローラー式には放熱板が。あと、現物を見てはいないが放熱板のあるコースター式もあるそうだ、MODかなぁ? )

この種のブレーキハブが国内( 山国 )で普及しない理由がこれ。激坂に弱い。

( 逆もある。激坂の登りでコグのドライバーが負荷に負けることも=半クラ的になる )

こうなるとOHが必要( ポンプアウトなんで )、これがいわゆる”リパックバイク”の由来。

( 画像、この時、実際にはハブが白煙を吐き、シューシューと音が。また左側にポンプアウトしているが、コグ側にポンプアウトな経験はない )

ちなみにフェードは? 経験ではない( 実は幾度か、このように急降下でハブを焼いている )。

つづきます…

追記。

コースターブレーキのメリットは、まずメンテナンスフリー( 経験では、たいていは5千キロはいける )、そして全天候型=リーディング式ドラムよりも密閉に優れる。

( なぜに優れるかというと、内部にもグリスが使える=それで完全的に防げる。そこも特性、シュー面にまでグリスが使えるブレーキはコースター式とローラー式のみ )

またアウターケーブルなど不要=ホイールサイズとブレーキアームのリーチ問題を無視できる。

デメリットは、まずは前述のように激坂に弱い( 山岳地帯には不向き )、雪路に凍結路に弱い( 即、後輪が流れる )、そして多段は無理=シングルonly。

( 多段に関しては、内装式は別として、機構的にテンショナーが使えない。ただ、大昔、コースター式連動のテンショナーもあった )

あと、フレーム( チェーンステー )にストレスが。それで古い運搬車にはアーム側フレームが強化されたものも。

なによりも現在販売な製品はプア、ろくなものがない( それでもスターメーにスラム製は、かなりまともかと…)。

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